※本記事は掲載日時点の内容となっており、将来的に制度変更等により内容が変わる場合がございます。
つみたてNISAの利回りとは?
まず、投資の収益性を測る尺度である「利回り」について理解しましょう。利回りの考え方は難しいものではありませんが、類似した意味を持つ言葉が多く存在し、同じ言葉が異なる意味で利用されることもあります。それらの違いや、つみたてNISAにおける利回りの意味合いも解説します。
そもそも、利回りとは?
そもそも、利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことを指します。収益には売却損益だけでなく分配金も含まれます。一般的に「利回り」という場合、投資期間で割った年利回りを指すことが多く、平均利回りと呼ばれます。
トータルリターンと騰落率
利回りと似たような言葉として「トータルリターン(リターン)」と「騰落率」があります。
トータルリターンと利回りでは、求める数字が実際のお金(円)か割合(%)なのかが違います。トータルリターンは、購入時点から現在(もしくは売却)までの期間における損益を示します。現在の評価額や売却金額から、買付に必要な金額を差し引き、手数料や税金など実際のお金の動きをすべて取り込みます。
一方、騰落率は基準価額の変化の割合です。投資信託の騰落率は一定期間における基準価額の変化と支払われた分配金もあわせたリターンを測るための指標です。通常、騰落率の算出は税引前の分配金を加えるため、税引後まで考慮すると利回りよりも騰落率のほうが数字が良くなります。
ただし、売買のコスト(買付手数料や信託財産留保額)や分配金がない投資信託の場合、1年間の騰落率は平均利回りとほぼ同じ意味合いです。
※騰落率は分配金を考慮しないので(平均)利回りとは違うと言われることもあります。一般社団法人投資信託協会の定義では、騰落率は期中の分配金を含めて算出します。
参考:一般社団法人投資信託協会 用語集「騰落率」
つみたてNISAの利回りの計算方法
つみたてNISAの制度や対象商品は以下のような特徴があります。
・販売手数料はゼロ(ノーロード)(※)
・運用益が非課税
・ほとんどの商品で分配金は発生しない
※金融庁が定めているつみたてNISA対象の商品となる条件の1つ
参考:金融庁つみたてNISA特設ウェブサイト「つみたてNISAの概要」
したがって、分配金が発生しないつみたてNISA商品では、利回りや騰落率の意味合いはほとんど変わりません。
例:
基準価額12,500円の商品を100万円分投資する。2年後に基準価額が15,000円になったタイミングで売却する。信託報酬手数料率は0.5%、ノーロード、信託財産留保額および解約手数料なしとする。
1.基準価額は一般的に1万口分の価格を指すので1口当たりの金額は12,500円 ÷ 1万円 = 1.25円です
2.100万円分を投資すると、100万円 ÷ 1.25円 = 80万口分保有することになります
3.基準価額15,000円になった時に80万口分売却するので、売却金額は15,000円(1万口分)× 80 = 120万円
4.この売買の損益は120万円(売却額)- 100万円(購入金額)= 20万円
※基準価額が15,000円になったのは2年後とし、運用期間は2年で計算します
仮に、これを2年でなく1年とすれば、(平均)利回りも騰落率も20%となります。
つみたてNISAの想定利率ごとのシミュレーション
実際に想定利率ごとにどれだけの運用益が発生するのかも確認しておきましょう。金融庁のつみたてNISA早わかりガイドブックでは、資産・地域を分散して20年間積立投資を行った場合、平均利回りはおよそ2%~8%になる確率が高いと紹介されています。
参考:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
そこで、利回りを3%、5%、7%、運用期間を5年から20年に設定して比較してみます。
※上記のシミュレーションは金融庁の資産運用シミュレーションを利用しています。
参考:金融庁 NISA特設ウェブサイト「資産運用シミュレーション」
この結果を見ると、長期で投資するほうが運用益が上がることがわかります。これが複利の効果と言えるでしょう。
また、NISA制度は運用益が非課税になるため、トータルリターン(円)が大きいほど運用益に対する節税効果も大きくなります。そのため、利回りが同じでも投資元本(積立金額)が大きいほど節税効果が高まります。
例:数値は上表参照
■毎月1万円を20年積み立てた場合(想定利率は年5%とする)
投資元本:240万円
元利合計:411万円(売却益:171万円)
節税効果:171万円×0.20315≒34.7万円
■毎月3万円を20年積み立てた場合(想定利率は年5%とする)
投資元本:720万円
元利合計:1233.1万円(売却益:513.1万円)
節税効果:513.1万円×0.20315(※)≒104.2万円
毎月の積立金額が1万円の場合、節税効果(通常の課税口座であれば源泉徴収される額)は約35万円ですが、毎月3万円を積み立てる場合、約104万円となるのでおよそ3倍の違いがあります。
※ 投資信託の運用益にかかる税率
つみたてNISAの商品を利回りで選ぶポイントと注意点
最後に実際にどのような商品を選べば高い利回りを実現することができるのかを考えてみます。つみたてNISAの商品を選ぶポイントは大きくわけると以下の2点です。
・地域や資産を分散して投資できる商品を選ぶこと
・保有コスト(信託報酬手数料)が低い商品を選ぶこと
1つの国や1つの資産(例えば株式のみ、債券のみなど)へ投資するよりも、複数の地域や資産に分散して投資するほうが元本割れする可能性が低くなる傾向があります(つみたてNISA早わかりガイドブックより)。
その分、大きく上振れすることも少なくなりますが、リスクを下げることで期待した収益に近い結果を残せる可能性が高まり、結果的に効率的な運用に近づきます。投資のリスクとは、「危険なこと」や「損をする可能性が高いこと」ではなく、基準価額の変動の振れ幅を指します。
また、過去の運用実績で選ぶことは重要なポイントではありますが、保有した際のコストである「信託報酬」が低い商品を選ぶことも重要です。利回りに大きく影響する投資信託の基準価額は、純資産総額を総口数で割って算出します。
基準価額(一口当たりの価額)= 純資産総額 ÷ 総口数
純資産総額とは、以下の図ように資産総額から信託報酬などの経費や分配金を差し引いた額のことです。
信託報酬手数料は買付時の手数料などとは異なり、直接お金を払うものではありませんが、基準価額に直接影響するため、トータルリターンや利回りに差が出ることは理解しておきましょう。
参考:一般社団法人 投資信託協会「投資信託の基礎知識」
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